日本三景を1日でぜんぶ見ることは可能なのか
皆さんは日本三景というものご存じかと思います。
日本三景公式サイトによりますと、江戸時代初期に林春斎が記した「日本国事跡考」に初めて、「日本三景」という定義が登場するようです。いずれも有名な景勝地ですから、全部とはいかないまでもどれか一つは訪れたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
さて、その日本三景ですが、以下のようなラインナップになっています。
松島 宮城県宮城郡松島町を中心とした多島海
天橋立 京都府宮津市にある砂嘴
宮島(厳島) 広島県廿日市市にある厳島神社を中心とした島
Wikipediaより(日本三景)
宮城県、京都府、広島県と本州に散らばっているわけですが、これを見た瞬間、感じたのです。
「けっこう近いな」
まるでレイラインかと思うほどに一直線上に配置され、そこまで離れているわけでもない。こりゃもう、一気にいけるんじゃないか。一日で全部回れるんじゃないか、そう思ったわけです。
日本三景ってやつは人によってはパワースポットみたいに考えている人もおり、一つ訪問するだけでかなりご利益があると考えることもあるわけです。つまり、3つ一気にいけばご利益どころの話じゃない、とんでもないことになる。美女を侍らせて札束ジャグジーくらいいける。
というわけで、以下のルールを設定しました。
日本三景一気に訪問ルール
・日本三景を一気に訪問する。
・のっけから暗闇ばかり続くと記事的にいまいちなのでスタートは日の出と同時とする。
・期限は0時まで。
・日本三景の石碑を撮影する。
以上です。簡単すぎる。ぬるすぎる。
4:27 松島
とうことで、夜明けの松島にやってまいりました。時間は4:27です(2018年夏の取材です)。夜明けからスタートということで夜明けが早い夏に実施し、おまけに日の出時間の早い東側からスタートが良いということで松島スタートとなりました。
ここは海に浮かぶ島々を美し眺めることができる展望台です。実際の松島からはそこそこ離れた山の中腹みたいな場所にありますので、下に降りていきましょう。
やはり日本三景の一角である松島はかなり強い観光地らしく、道路沿いにはかなりの数のお土産物屋が林立していました。けれどもまだ朝の4時です。どの店も全く営業しておりません。観光地から少し外れた場所にコンビニがあったので、そこでおにぎりを食べました。
下から見ても完全に風光明媚。そして静かなものです。まるで時間が止まっているかと錯覚する風景がそこにありました。早朝の松島、最高だな。
これが日中になると観光客が増えてきて賑やかになるのでしょう。祭りの前の静けさみたいな風流さがあります。遊覧船みたいな船もジッと息をひそめて待機しているだけです。
4:49 松島 クリア
ありました。これが日本三景碑です。たぶんこれが他の2つの場所にもあるはずです。ということで、日本三景の1つ目、松島クリアです。
ちなみに、7月21日は日本三景の日です。なぜそうなのかは知りません。
先ほど、朝の松島は静かで良いといったのですが、その前言をさっそく撤回させてもらうと、この早朝で人気がないのをいいことに何組かのカップルがイチャイチャしていました。自転車に乗って後ろを押したりとかですね、やだ、速いもうっ!とかですね、そんなに圧をかけたら阿修羅男爵なるんじゃないかと思うほどに顔と顔を寄せ合って写真撮影をするカップルとかですね。まあ大変な騒ぎですわ。朝の松島、アカンな。
さあ、次はここから西に西にひた走って京都まで行き、天橋立を目指しましょう。
今回の旅のお供はこのレンタカーです。何をトチ狂ったのか福島駅前の店舗で予約してしまい、ここ松島まで夜を徹して走ってくる羽目になりました。なんであの日の僕は福島で予約したんでしょう。何をどう間違ったらそうなるんでしょう。何か深い考えがあったのでしょうか。今となってはその真相を知ることはできません。
ここから京都を目指すわけですが、まずは仙台を目指さないと話になりません。三陸自動車道の松島海岸インターから高速道路へと入っていきます。
次は天橋立なわけですが、どう好意的に解釈してもめちゃくちゃ遠い。なんで近いと錯覚したんだろう。冷静に見たらめちゃくちゃ遠い。アホかと思うほどに遠い。え!?遠い。
まあ、とにかくひた走るしかないので黙々と先に進んでいきます。
運転中のため写真撮影できなかったのですが、仙台に近づくにつれて非常に霧が濃厚になってきました。まるで黄泉の国へと続いているのかと思うほどに濃厚な霧です。
その影響でしょうか、途中、追突事故によってめちゃくちゃに大破した車の横を通り過ぎました。こうならないよう、気を引き締めて運転していかねばなりません。
5:18 仙台市 走行距離 28.9 km
[松島海岸IC]→三陸自動車道→[仙台港北IC]→仙台北部道路→[仙台若林JCT]
ここから仙台南部道路へと入っていき、東北道を目指すことになります。いつの間にか霧はすっかり晴れており、大都会仙台の町並みが少し先に見えました。
6:05 東北道 国見SA 走行距離 86.0 km
仙台南部道路→[仙台南IC]→東北道→[国見SA]
霧は晴れたが、天気は悪い。これから先も気が遠くなるほどの長い旅路が予想されるため、こまめに休息をとることにした。なんだろう、高速のSAに来るとラーメンを食べなくてはならないような気がしてくるが、さすがにそこまで空腹ではないので我慢することにした。でも近い将来、食べることになるような気がする(2018年8月の取材です)。
なぜか、このSAでは異常に大量の犬を運動させている人がおり、めちゃくちゃ犬連れてるなーと思って見ていたたら逆サイドからもめちゃめちゃ犬を連れている人がいて、すれ違いざまに抗争みたいになっていた。犬同士がエキサイトして派閥同士の闘いみたいになっていたので、銀牙みたいなだなあって思った。
次第に天気も良くなってきて、カーラジオから聞こえてくる音楽もご機嫌に感じられるようになってきた。何事もなく安達太良SAへと到着した。なんかここでも近い将来、ラーメンを食うことになりそうな気配がした。
6:41 東北道 安達太良SA 走行距離 141.6 km
[国見SA]→東北道→[安達太良SA]
僕としてはかなり長距離を運転してきたんだなあと実感するし、けっこう腰とか痛くなってきているのでもう8割がたは進んだだろうと思うのですけど、地図を確認してみるとこんな感じだった。
かけ出しもいいとこ。全然進んでいない。序盤じゃねえか。これ、もしかしてけっこう無謀な挑戦だったんじゃないか。なんだよこれ。天橋立が遥か遠くじゃねえか。
郡山JCTから磐越道に入り、新潟を目指す。つまり、日本海側を通って天橋立を目指すプランだ。磐越道はなかなかにエキサイティングな道路で、磐梯山が見えたかと思えばバカでかい観音様が見えたり、あと、なぜか道路上にゴミが散乱していてめちゃくちゃ治安が悪い感じを醸し出していた。っていうか何をどうやったら高速道路上にゴミが散乱するんだ。
7:12 磐梯山SA 走行距離 181.8 km
[安達太良SA]→東北道→[郡山JCT]→磐越道→[磐梯山SA]
スラムのような磐越道をひた走り、なんとか磐梯山SAに到着した。けっこう長時間運転してきたので昼くらいの時間だと錯覚してしまうが、夜明けから動いていたのだからまだ朝の7時だ。早朝もいいところなのでSAにもほとんど人がいない。
このエリアの高速道路はガソリンスタンドが少ないから注意しろ、ここで入れていけ、という注意書きがあった。高速道路SAにありがちなやつだ。
まあ、こちらはスタートしてから200キロくらいしか走っていないわけで、まだまだガソリンは潤沢にある。心配することはない。というか、次のスタンドまで何キロかだいたいわかる高速道路上でガソリン危機に陥るやつって相当に間抜けだろ。そんなやつおらんだろ。
100キロほど走って磐越道が終わると一気に新潟に突入する。高速道から見る新潟はめちゃくちゃ都会で、自分の中のイメージの3倍くらい都会だった。そういや、新潟ってきちんと訪問したことがほとんどないので、どっぷりと観光したいなあ、という気分になった。けれども、忘れそうになるけどこれは日本三景を巡る旅なので、高速から降りることなく、そのまま北陸道へと入っていく必要がある。
8:23 新潟中央JCT 走行距離 288.4 km
[磐梯山SA]→磐越道→[新潟中央JCT]
そして、大きなピンチが訪れた。すっかり忘れていたのだけど、ガソリンがなくなりそうだ。これは予想外のことだった。当初の予定ではもっと先の方で給油することになっていたはずだ。
だいたい多くの車は満タン給油で500キロは走るようになっている。けれども、松島を出発してから300キロも走ってないのに、どうしてこんなことになっているのか。想定外だ。
と思っていたら、そういえば意味不明に福島でレンタカーを借りて、そこからひた走ったんだった。なんであの日の僕は福島で予約したんだ。そんなことはいまはどうでもいい。そう、スタート地点まででかなりガソリンを消費したんだった。その分を計算にいれていなかった。
こんなところでガス欠になったら死ぬー! となりながら運転したけど、なんとかガソリンスタンドのあるPAが近くにあって助かった。
8:30 黒埼PA 走行距離 298.3 km
[新潟中央JCT]→北陸道→[黒埼PA]
日本海側に出ると途端に天気が良くなった。これはこの先の天橋立が楽しみだ。といってもまだまだむちゃくちゃ遠いけど。
ほーら、スタンドないから注意しろよって注意書きがまたあった。こういうのは「そんなやつおらんやろ」って切って捨てるんじゃなく、そういう状況に陥ることもあるからな、と気を引き締めなければならないのだ。
しっかりとガソリンを入れる。これで完全武装だ。まってろよ、天橋立。といったところで現在の進捗状況がこちら。
まだ半分もきてなくて完全なる序盤なんですけど、大丈夫なんですかこれ。もうかなり長時間運転してきたけど、大丈夫なんですか、これ。さすがの僕もちょっと無謀だったかなって思い始めてきた。
三条燕IC 走行距離 317.5 km
[黒埼PA]→北陸道→[三条燕IC]
三条燕ってどっかで日常的にみる地名だな、でも思い出せない、と運転しながら悶々と考えていたのだけど、思い出せなくて気持ち悪いのでその先の栄PAに入って車を停め、徹底的に調べた。
そう、包丁でよく見る地名だ。包丁とかによく刻まれている地名だ。なるほど、ここで作ってるのかと感慨みたいなものがあった。ただ、包丁の表記や新幹線駅は「燕三条」の表記なのに、高速のインターは「三条燕」だ。その辺は燕市と隣接する三条市の長年の遺恨みたいなものがあるらしい、とインターネットに書いてあった。
それにしても、このあたりからかなり通行量が増えてきた。このままではいつ渋滞が始まってもおかしくない交通量だ。ごみが散乱してるだけだった磐越道が懐かしい。
また、今日がお盆ということも関係しているのかもしれない(2018年8月の取材です)。もろに帰省のUターンラッシュにかぶっているのかもしれない。なんにせよ、関東方面に向かう関越道との分岐になる長岡JCTまではこの混雑なのだと思う。頼むから渋滞だけはしないでくれ。
長岡JCTを過ぎると、予想通りちょっと交通量が減った。それでも追い越し車線に常に車がいて並走しているような状態だ。
カーラジオからセロリが流れてきていて、あまりにご機嫌なナンバーなので熱唱しながら運転していたら、隣の追い越し車線を走る車の運転手も同じように大口を開けてセロリを熱唱しているのが見えた。みんなセロリが好きなのである。
そんな風にセロリを歌っていたらめちゃくっちゃおなかが痛くなったので、急遽、苅羽PAでトイレをすることにした。
ぽつんとトイレがあるだけ。俺たちは絶対にうんこをするという断固たる意志を持っている人しか立ち寄らない感じのPAだ。
ただ、先ほど、隣の車線でセロリを熱唱していた車も立ち寄っていたみたいでトイレでその人とすれ違った。
「セロリ歌ってた人だ」
ってお互いに気が付いたようで、不思議な距離感で軽く会釈をしたんだけど、その勢いで「セロリいいっすよね」って話しかけようかとも思ったけど、PAのトイレで知らない人にそう話しかけられたら恐怖でしかないので、やめておいた。
上信越道との分岐となる上越JCTを超えると、「富山までトンネル26本地帯」という表記が見えた。読んで字のごとく富山までトンネルが26本あるらしい。それ以上でもそれ以下でもない。そんなに言うなら数えてやろうじゃないかと数えていたが、面倒になって7本目くらいでやめてしまった。
11:01 魚津IC 走行距離 501.1 km
[三条燕IC]→北陸道→[魚津IC]
細長い新潟県が終わり、いつの間にか富山県に突入した。富山県は地図で見てもかなり小さな県なので、あっという間に通過してしまうかもしれない。
ここ魚津という場所は蜃気楼が見える場所として有名らしい。蜃気楼、見えねえかなと右手に広がる海を眺めながら運転していたんだけど、もちろん見えるはずもなく、わき見運転になるのでやめておいた。
ちなみに蜃気楼は富山湾に入り込む冷たい雪解け水が大気の温度差を作り出すことで実現するらしい。よって、海が冷たい時期、3月から7月までだそうだ。完全に時期が外れているのでやはりだめだ(取材は2018年8月)。
11:47 小矢部川SA 走行距離 565.1 km
[魚津IC]→北陸道→[小矢部川SA]
さて、日の出から何も食べずに走り続けていたのでいい加減、お腹が減ってきた。時間も昼食に良い時間なので小矢部川SAで食事をとることにした。
ただ、この小矢部川SA、めちゃくちゃ混んでいた。まず駐車場もパンパンで入るのも一苦労だし、ご飯を食べるところは長蛇の列だった。限定のグッズが売られているかと思うほどの長蛇だった。そこまで時間的に余裕がある旅でもないのでここは諦めてさらに先のSAを目指すことにした。
12:15 徳光PA 走行距離 600.3 km
[小矢部川SA]→北陸道→[徳光PA]
小矢部川SAから少し走るとめちゃくちゃ大きなPAが登場してきた。ハイウェイオアシスも併設するどでかい施設だ。しかも、ここはあまり混んでいない。それは駐車場の雰囲気からも感じ取れる。むしろ閑散としている。みんな手前の小矢部川SAに吸い込まれて行って穴場みたいな感じなのかもしれない。
これだけで大きいならかなり食事の選択肢もありそうだ。満足いく昼食が取れそうだ。ワクワクしながら突入する。
え?
なに?
なんで?
なぜか、テナントのほとんどが閉店しており、廃墟みたいになっていた。なんでこんなことになってるの。バイオハザードのそういう面に入り込んだのかと思ったわ。
調べてみると、このPA上り線側にある商業施設「はくさん街道市場」だが、二度にわたって運営会社が倒産するなどして急速に経営状況が悪化し、こんな状態になっているらしい。
Uターンラッシュの賑わいとは無縁の廃墟具合で、そのアンバランスさに脳がついていけなかった。これ、そのうち閉鎖とかになるんじゃないかな(取材時の2018年夏はご健在でしたが、その後、この商業施設は2019年8月末で完全閉鎖したそうです)。
そんな廃墟の中でひっそりと営業していたちゃんぽん屋で昼食をとる。なぜ、こんな北陸のパーキングエリアで長崎ちゃんぽんを食べているのか理解不能で脳がバグりそうだが、ほぼこれしかないので仕方がない。
しかも、廃墟の店だからさぞかし空いているかと思ったら、めちゃくちゃ混んでいた。「お、でかいPAじゃん、飯食べようか」「廃墟やんけ」という流れで誘われた人々がみんなここに来るので混んでいる。誘蛾灯みたいなもんだ。けっこう待たされたが、もう空腹が限界なのでしっかりと待った。
ここで食べたラーメンをレビューすると、高速SAで延々とラーメンを食べる記事みたいになってしまうので割愛。なんとか腹も満たされたので良しとしよう。
完全に廃墟一歩手前、みたいな徳光PAなのだけど、駐車場の片隅には意味深な橋がある。なんだろうと進んでみると、
おお!
海だ! 海が見える!
綺麗な砂浜の海! 海水浴してるっぽい人もちらほらいる(2018年8月の取材です)。
この海を臨む公園がハイウェイオアシスらしい。というか、逆側の上り線パーキングは廃墟でもなく、かなり繁盛していて車もパンパンだ。こうも違うものなのか。
廃墟PAを出発し、北陸道をひた走る。やはりUターンラッシュらしく、かなり交通量が多い。おまけに徳光PAを除くほとんどのSAやPAが満員で、駐車場待ちの車列が本線まではみ出しているところもあった。
そんな混雑しているPA/SAを避けて走っていたらおしっこが漏れそうになったので、焦った。漏れるかと思ったくらいだ。なんとか命からがら、杉津PAに滑り込むことができたて助かった。完全に城門を破る前田慶次のごとくトイレに突入した。
14:10 杉津PA 走行距離 706.8 km
[徳光PA]→北陸道→[杉津PA]
おしっこをしてすっきりしたことだし、ここで現在の状況を整理しておく。
完全に近い。
走行距離も700キロを超え、適宜休憩を挟んでいるとはいえ10時間近く運転している。やっと天橋立を視野に捉えた。この勝負、モロタ。
あれだけ快晴だったのに雲行きがかなり怪しくなってきた。一瞬にしてややグレーがかった雲が空を覆い始めた。
そしてついに恐れていたことが始まってしまった。
渋滞だ。
15:29 舞鶴付近 走行距離 793.3 km
[杉津PA]→北陸道→[敦賀JCT]→舞鶴若狭自動車道→[舞鶴]
敦賀JCTを経由して北陸道から舞鶴若狭自動車道に入り、舞鶴あたりを通過したところで激しい雨まで降ってきた。車列は微動だにしないわ、大雨だわで最悪の状態に。
いつの間にか片側1車線の対面通行になっていたのだけど、その貴重な一車線を故障車が塞いでいるようで、えげつない渋滞になっていた。このまま時間ロスが続くと3つ目の日本三景、宮島に0時までにいけなくなってしまう。残り時間がかなりやばい。
なんとか渋滞を抜けて、綾部JCTから京都縦貫自動車道に入る。すると、きれいさっぱり空が晴れ渡り、おまけに渋滞も解消された。光明が差すとはまさにこのこと。
ただ一つだけ心配があって、この天橋立に向かう方面は空いているのだけど、逆側が常軌を逸した渋滞を見せている。逆だから関係ないと思うかもしれないが、ここは天橋立を訪れたと後、宮島を目指すときに絶対に通るルートだ。このまま渋滞が続くようだとかなりやばい。
15:58 宮津天橋立IC 走行距離 829.1 km
[舞鶴]→舞鶴若狭自動車道→[綾部JCT]→京都縦貫自動車道→[宮津天橋立IC]
時間にして11時間半、距離にして820キロ、ついに天橋立最寄りのインターチェンジに到達した。めちゃくちゃ遠かった。頭おかしいレベルで遠かった。しかし、ついにやったんだ。
11時間半ぶりに一般道を走る。正直に言うと高速道はかなり景色が退屈なので、一般道の町並みは全てが刺激的に見える。
あまりに刺激的だったのか、「母親大会」なる謎の大会の看板を撮影している。なんなんだ、これは。
16:13 天橋立
天橋立周辺はかなりの観光地っぽさで、土産物屋などが密集する地帯を取り囲むように有料駐車場が存在する。どこもまあまあ良い値段がするので迷っていると、衝撃的な看板を見つけた。
ガソリンを満タンにすれば駐車料無料というもの。これは完全にお得。ちょうど二度目の給油が必要なのでここで入れて駐車することにした。
天橋立の土産物屋ゾーンはかなり賑やかだ。お盆ということもあっていつも以上に賑わっていそうな感じだった。
特徴的な橋を渡って天橋立ゾーンへと入っていく。
あった、日本三景碑だ。これで2つ目。あとは宮島の1つを残すのみ。
ただ、この天橋立、たしかに綺麗なのだけどここにいるとただの海に近い森という感じしかしない。
海が近い。
森。
これではちょっと日本三景感が少ないので、やはり上の方から眺めるしかない。
本当に綺麗なんですけど、もっとこう、さすが日本三景と唸るようなすごいのが見たい。
天橋立本体から少し山の方に行くと、リフト乗り場がある。これを使って山の上まで行って最強の眺望を得るわけである。
リフト乗り場は、お盆ということでめちゃくちゃ混んでいて、けっこう並んでいた。ここでの時間ロスは痛いが、ここまで来て見ないわけにはいかないのでジッと耐え忍んで並ぶ。
リフト乗り場は最近リニューアルしたみたいでかなり綺麗だった。
恐ろしいことに、リフトに乗った瞬間に雨が降ってきた。夕立のような激しい雨が降ってきた。スコールみたいな雨が降ってきた。地獄かよ。
画像を見ても分かるように、リフトには小さな屋根がついているのだけど、あまりに脆弱で雨を防ぎきれない。僕らをあざ笑うかのように雨が打ち付ける。もう成すすべなく、すきにしてけれ、という感じで耐え忍ぶしかなかった。
しかも、リフトが中腹あたりにさしかかると、なぜかV6の「WAになっておどろう」が爆音で流れてくる場所があって、一人でブツブツと輪になって踊ってる場合じゃねえよ、この雨を何とかしてくれよ、と呟いていた。
リフトで登った先は遊園地みたいになっていた。頭に来ることに地面が全く濡れていない。つまりリフトの場所しか雨が降っていなかった可能性が高い。ふざけんなよ。
いや、雨が降ってなくて最高に景色が綺麗なはずだ納得し、天橋立ビューへと急いだ。
おおおおおお、なんかすごい。さすが日本三景。すごい。
で、ここでは股ぐらから逆さになってみるスタイルの人が多くてですね、股覗きっていうらしいんですけど、そうすると龍が登ってるように見えるらしいんです。
でね、その股覗きを頭がアッパーパーみたいな若いギャルがワイワイやってるんですわ。でもね、こういうのは若くて眩しい陽キャが仲間とワイワイやるものなんですよ。
僕みたいな野武士がそういうことできないでしょ。どういうテンションでやったらいいんですか。僕のような太ったおっさんが、それも単身で来ている僕がどういうテンションでやったらいいんですか。
やってみました。
けっこう悪い気はしない。
ちなみに、戻るときの眺めが一番すごいです。
帰りのリフトでは、なぜか外国人グループに前後を挟まれてしまい、その外国人たちが僕越しに激しく会話をするという地獄みたいな状態でした。
おまけに前の外国人が、けっこう大音量にブッとオナラをして、それが本当にリフトを揺るがすほどの凄まじさで、なぜか前後の外国人がバカウケ、ずっとゲラゲラ笑っていたので僕も笑わないと失礼かなって思って笑ったら、なんでお前笑ってるの?って感じの真顔で睨まれました。
17:31 天橋立次の宮島を目指すわけだが、地図を見ても分かる通り、悪夢のような距離だった松島→天橋立よりはまあまあ近い。距離にして500キロくらいだと思う。だいたい5時間もあれば到着するだろうか。
時間は17時30分、5時間かけて行っても22時30分だ。これは普通に行けてしまう。0時までに到着できる。ミッションクリアできてしまう。つまり、日本三景を1日で見て回ることは可能なのである。なんだよ、楽勝じゃんか、と思った瞬間、とんでもない見落としに気が付いた。
「宮島はフェリーで行くんだった」
そう、最後の日本三景、宮島は、宮島口という場所から15分くらいフェリーに乗った先にある。つまり、0時がタイムリミットではなく、そのフェリーの最終便がタイムリミットだ。
急いでフェリーの時刻表を調べたところ、最終便は22時40分だった(2018年8月現在)。つまり、完全にギリギリ。途中で休憩をとることなどを考えるとかなり厳しい状態だ。
ただ、いけないわけじゃない。いける。がんばってみるよ。やれるだけ、がんばってみるよ。いく、いける。ただ、渋滞があったら完全に終わる。スピード出しまくって遅れを取り戻すというわけにはいきませんので、渋滞があったら完全に終わる。
おわったあああああああああ。だめだあああああああ。
来るときにも見ましたけど、京都へと向かう高速道路が完全なる渋滞。さっきよりひどい有様になっていた。
結局、ここで1時間ぐらいロスしたので、もう完全に不可能、巻き返し不可ということで、絶対に最終のフェリーに間に合わないので、ここでチャレンジ終了となりました。
一日で日本三景を一気に見ることは不可能。ということになります。
ただし、完全に不可能というわけではなく、やり方によっては可能だと思います。以下が次回に向けての対策。
・お盆時期を外す
お盆の時期は高速道路が渋滞しがちです。これでかなりのロスがありました。おまけに、高速道路だけでなく、リフトだとか食事とかトイレでも混雑を食らいますので、完全に実施時期を失敗しました。
・最も日の出が早い時期に実施する
日の出と同時にスタートというルールなので、単純に日の出が早いほど使える時間が増えます。一年で最も昼の時間が長いのが夏至ですが、これは最も日の出が早い日ではありません。夏至の1週間くらい前がいちばん日の出が早くなるのでそこで実施すべきです。
・新幹線とレンタカーを組み合わせる
松島からレンタカーで仙台、仙台から新幹線で京都、京都からレンタカーで天橋立。これでかなりの時間短縮ができる可能性があります。
・終夜運転を利用する
なによりネックなのが宮島のフェリーです。ただ、大晦日だけは厳島神社への参拝客のために終夜運転をしているはずなので、単純にリミットが0時に近くなります。
これらの手法を組み合わせて必ずリベンジしたいと思います。
ちなみに、この記事はSPOTに載せてもらうつもりで取材したのですが、中途半端な結果に終わったので、自主的にボツにしました。なので10万円くらいの経費が全部自腹なので、誰か助けてください。本当に助けてください。
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